■起訴困難?捜査に立ちはだかる壁 今回は覚醒剤の「使用」や「所持」でなく「譲り受け」の容疑だ。譲り受け事件は立件が難しいという。捜査関係者が明かす。 「使用事件では尿検査で陽性反応が出たり、所持事件では身近なところから薬物が見つかったりするなどの直接証拠があるが、譲り受け事件では物がなく、譲渡側と譲り受け側双方の供述の信用性が争点になる」 警視庁は内偵捜査で密売の現場とされるホテルに小向容疑者が出入りしているのを確認。日本人の男から「小向容疑者に覚醒剤を売った」との供述を得た。 さらに小向容疑者の自宅や事務所を捜索。今月1日には、密売組織のリーダーのイラン人男を覚せい剤取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで再逮捕するなど、否認を続ける小向容疑者の“外堀”を埋める作業を続けている。 起訴は可能なのか。薬物問題に詳しい小森栄弁護士は「覚醒剤の使用や所持事件と比べて不起訴になることは多い。携帯電話の記録など客観的な証拠が薬物の売買と結びつかないと立証は難しい」との見方を示す。 現在、小向容疑者は否認し、譲り受け側のリーダーは黙認している。捜査のハードルは高い。 だが、元関東信越厚生局麻薬取締部捜査1課長の小林潔氏は「家宅捜索で今回の事件にかかわる吸引器具などが出てきたり、リーダーから日本人の男の供述と矛盾しない供述が得られれば、これまでの証拠の補強になる」と説明。「外務省に小向容疑者の旅券返納命令を出すことを要請するなど、ある程度確証を持ち起訴して有罪にもっていく自信があるはず。内偵捜査や日本人の男の供述だけで逮捕に踏み切ったとは考えにくい」と、捜査側に歩があるとみている。 ■なぜ繰り返される芸能人の薬物事件 小向容疑者は今回で2回目の逮捕だったが、薬物事件を繰り返す芸能人は多い。清水健太郎(本名・園田巌)受刑者(58)=覚せい剤取締法違反の罪で実刑が確定=は薬物事件では5回、田代まさし被告(54)=麻薬取締法違反の罪で公判中=も2回逮捕されている。 内閣府によると、覚醒剤事件での再犯率は57・8%(平成21年)。半数以上が再び犯行に手を染める現状があるが、芸能界特有の環境というのも背景にありそうだ。 「芸能界では人気があるときは毎日のようにチヤホヤされるが、人気がなくなると一転して誰も周囲にいなくなる。喪失感や寂しさに耐えきれず、薬物に手を出す面がある」。小林氏は芸能人を取り巻く独特の環境に言及。その上で「人気絶頂の芸能人が薬物事件に関わっているという話は聞いたことがない。薬物に手を染めるのは人気にかげりが出始めた人がほとんどだ」と分析する。 人気グラビアアイドルから薬物事件を経てストリッパーへと転向した小向容疑者。渡比はストリッパーとしての腕を磨くためポールダンスを学んでいたとされる。成田空港で余裕の表情を浮かべてスポットライトを浴びた小向容疑者。1回目の事件で有罪判決を受け、裁判所前で泣きながら会見に応じたときとは表情が異なる。胸中に秘めた思いは何なのか。
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